明日使えない火薬の知識②

ごきげんよう。S氏です。S氏のSはSuperのSです。英語だとスーパーですがドイツ語だとズーパーです。ズ。。

さて、今日も使えない火薬の知識です。今日は文系のS氏が文系を置き去りにする内容です。つまらない内容がつらつらと書かれています。読む前に気合を入れることとインターネットで調べものできる環境が必要です。

突然ですが皆さん、火薬といえばなんですか?もちろん黒色火薬です。硝酸塩を主とする黒色火薬は火薬の代表だと前回お伝えしました。

では爆薬は?理系の皆さんは硝酸塩を主とする爆薬といえば含水爆薬でしょうか。アンモン爆薬でしょうか。(※ここでいう理系は化学専攻の方を対象としています。)

いやいや、文系の皆さんは爆薬といえばダイナマイトだと答えるでしょう。なんなら爆弾=ダイナマイトなのでは?きっとアルフレッドも喜んでいます。

しかしご注意を。ダイナマイトと答えるのは時代遅れなのです。

爆薬といえばTNTと答えるのがイマドキ!

そう!今回はTNT(トリニトロトルエン)の話です。

TNTといえば小学生の8割が知っている(S氏調べ)爆薬。ニトロ基3個を持つトルエンのニトロ化合物です。トルエン(C6H5CH3)を硝酸・硫酸の混酸で硝化して得られる粗製品から製造します。

TNTは吸湿性がなく、水に不溶で、自然分解の傾向がないため安定した化合物です。爆速はだいたい6,900m/sec。発火点475℃以上(定温加熱法)。品質が一定しているのでよく爆薬の検査とかでベースとして扱われます。「この爆薬はTNT〇〇個分の威力だ」的な感じで。つまり爆薬の凡です()。

TNTのようにニトロ基を3以上もつ爆薬を他にも紹介していきます。

【テトリル(C6H2(NO2)3CH3NNO2)】テトリスではありません。

トリニトロフェニルメチルニトロアミンのことです。ジメチルアニリンを硫酸でスルホン化し、硝酸で硝化して得られます。食べられません。爆速はだいたい7,850m/sec。発火点257℃(定温加熱法)。

【RDX((CH2)3(NNO2)3)】

トリメチレントリニトロアミンのことで、ヘキソーゲンとも呼ばれます。学術的にはニトロ化合物ではなくニトロアミンなのですが、火薬類取締法的にはニトロ化合物の仲間です。爆速はだいたい8,350m/sec。発火点260℃(定温加熱法)。ペンスリット並みの高性能爆薬です。RDXとTNTを主成分とする混合爆薬コンポジションBがあります。

HMX((CH2)4(NNO2)4)。

High Melting point ExplosiveもしくはHigh Molecular weight Explosiveの略称で、テトラメチレンテトラニトロアミンのことです。正確にはニトロ化合物ではなくニトロアミンです。英語とかカタカナが多いとS氏には辛いです。爆速はだいたい9,100m/sec。発火点335℃(定温加熱法)。TNTと混合してミサイルの弾頭に使われたりします。

他にもいろいろありますが長くなったし疲れたので今日は帰ります。ちなみにこれだけ偉そうに語りましたが、このどれも実物を見たことがありません。豊田煙火ではこんな爆薬を作っていません。知りません。爆薬といえば割薬です。花火がどかーんです。

今回は日本火薬工業会資料編集部が出している一般化薬学の本を参考にさせていただきました。日本火薬工業会様ありがとうございます。



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